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兵法において
COOLDOWN/side story
クールダウンsidestory夜刀浦の神(CD)
兵法において



 ずっと下に階段を降り続けながら対策を練る。
 いかに勝つか。
 『勝つべくして勝つ』ことが兵法の理想だ。
 偶然性に頼ることなく、必然的に勝てる方法を模索するため、天野と栃草から可能な限りの情報を聞き出した。
 そして物理無効の湖川にダメージを与える手段を得た。
 嬉しい誤算だがフェレットの魔剣も重力属性の魔法斬撃が可能だと判明した。
 手持ちの駒を確認したが決して多くない。
 この多くない持ち駒を使って、負けない将棋を打つ方法を考えてゆかねばならない。
 兵法において『不敗の地に立つ』という考え方である。
 プランを練りながら書架の回廊を巡り歩き、やっと大書庫前の広場に到着した。
 敵対者としての役割を与えられた試験官の二人が待ちくたびれていた。
「面倒くせぇ……気が乗らねぇ事この上ねぇな」と湖川が言った。
「何を今更」と智内が言った。
「かったりィが……相手してやろうじゃねぇか」
 湖川の持つ『黒い本』が日本刀に変化した。
 智内がタロットカードを浮遊させ虚空に展開すると、足下で薄汚い泡の塊が際限なく増殖し始めた。
「知性のない消えゆく泡……骨まで溶かすわよ?」と智内が言った。
「テケリ・リ……テケリ・リ」と食虫植物のような泡体が鳴いた。
 熱意が欠けているものの、湖川と智内が単純に強いため長期戦となった。
 戦というものにおいて、すべて勢いが決するところがある。
 しかし兵法通り『勢いに乗じる』ということに移れない。
 二人とも戦い慣れした魔術師だった。
 戦闘に熱狂することなく冷静かつ冷徹な平常心で淡々と攻撃してくる。
 戦い易いが倒し難い。
 魔法属性の斬撃が可能な俺とフェレットが物理無効の湖川を攻撃し、香月が機動力と命中率を生かして智内を狙い、鎧の装甲が分厚いミヒャエルが盾役となった。
 盛り上がりに欠けるグダグダの泥仕合の結果、何とか勝利した。
 岩塩で再構築された湖川の身体をフェレットの魔剣が撃ち砕いた時点で、智内がアッサリと降参したのだ。
 香月やフェレット、そしてミヒャエルがいて助かった。
 こうして俺も魔術の才能において、一応の実戦証明が取れたのである。
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