HARUHI/side story
涼宮ハルヒの憂鬱sidestoryラヴクラフトの世界
シルバートゥース実験
司書室の奥にある第2図書室に入る。
龍見を探して書架の回廊を抜け、階段を降りた。
地下に深すぎるダンジョンのようだ。
書庫を発見したので覘いてみると龍見が錬金術のような意味不明の実験をしていた。
龍見が実験の手を休めて、こちらに向いた。
それから俺に青いファイルブックを差し出した。
「君が元の世界に帰還する方法が記述された論文を見つけておいたよ、ほら」
……手回しのいいことだ
「そりゃあ、ね。これが私の仕事だからな」
くつくつと笑う男の不愉快な態度を無視して渡された綴じられた論文を読もうとしたが難解な数式の羅列ばかりでバカな俺の頭じゃ理解不可能のようだった。
しかし帰還に必要な知識を得なければ話にならない。
俺でも読解可能な英語部分のみを拾い読みした。
1997年にミスカトニック大学の物理学者ロバート・ゴドラム教授が記述した学術論文のようだ。
以前、長門が貸してくれたSF小説のテーマに近い。
1個の対象物、数としての実無限(アレフ)という数学的無限に関するものだった。
無限集合論における可算濃度が集合の大きさを表す数だから、超限数(無限の大きさ)と別に定義するとか何とか。
論文の正式名称を日本語訳すると『アレフ∞の濃度を持つ超越次元空間の写像操作と選択的エンタングルメントの任意縮退理論』だそうだ。
とてもじゃないが覚え切らんから【エンタングルメント】という略称で呼ぼう。
要するに、ヒッグス粒子から成るヒッグス場も、エーテルが持つ粒子としての一側面に過ぎないという学説のようである。
しかしマイケルソン・モーリーの干渉計で実験された結果、空間を構築するエーテルの存在が科学的に否定されてなかったか?
「この世界において、科学者のE・シルバートゥースがレーザー方式の精密な測定装置を使って実験によるエーテルの検出に成功している。ハロルド・アスプデンがシルバートゥース実験をめぐる論文を発表しているが読んでみるかね?」
マイケルソン・モーリーの時代じゃ実験器具の工作精度が低すぎてエーテルの検出が技術的に不可能だったに過ぎないそうだ。
「魔力(エーテル)の操作方法を【魔法カバラー入門】で学ぶ前に、気(魔力)の感覚化方法を【超能力仙道入門】の記述通りに実践してみなさい」と龍見が言った。
そして龍見が実験に戻ってしまった。
書架の横に椅子があるから、渡された【超能力仙道入門】を熟読してみることにした。
涼宮ハルヒの憂鬱sidestoryラヴクラフトの世界
シルバートゥース実験
司書室の奥にある第2図書室に入る。
龍見を探して書架の回廊を抜け、階段を降りた。
地下に深すぎるダンジョンのようだ。
書庫を発見したので覘いてみると龍見が錬金術のような意味不明の実験をしていた。
龍見が実験の手を休めて、こちらに向いた。
それから俺に青いファイルブックを差し出した。
「君が元の世界に帰還する方法が記述された論文を見つけておいたよ、ほら」
……手回しのいいことだ
「そりゃあ、ね。これが私の仕事だからな」
くつくつと笑う男の不愉快な態度を無視して渡された綴じられた論文を読もうとしたが難解な数式の羅列ばかりでバカな俺の頭じゃ理解不可能のようだった。
しかし帰還に必要な知識を得なければ話にならない。
俺でも読解可能な英語部分のみを拾い読みした。
1997年にミスカトニック大学の物理学者ロバート・ゴドラム教授が記述した学術論文のようだ。
以前、長門が貸してくれたSF小説のテーマに近い。
1個の対象物、数としての実無限(アレフ)という数学的無限に関するものだった。
無限集合論における可算濃度が集合の大きさを表す数だから、超限数(無限の大きさ)と別に定義するとか何とか。
論文の正式名称を日本語訳すると『アレフ∞の濃度を持つ超越次元空間の写像操作と選択的エンタングルメントの任意縮退理論』だそうだ。
とてもじゃないが覚え切らんから【エンタングルメント】という略称で呼ぼう。
要するに、ヒッグス粒子から成るヒッグス場も、エーテルが持つ粒子としての一側面に過ぎないという学説のようである。
しかしマイケルソン・モーリーの干渉計で実験された結果、空間を構築するエーテルの存在が科学的に否定されてなかったか?
「この世界において、科学者のE・シルバートゥースがレーザー方式の精密な測定装置を使って実験によるエーテルの検出に成功している。ハロルド・アスプデンがシルバートゥース実験をめぐる論文を発表しているが読んでみるかね?」
マイケルソン・モーリーの時代じゃ実験器具の工作精度が低すぎてエーテルの検出が技術的に不可能だったに過ぎないそうだ。
「魔力(エーテル)の操作方法を【魔法カバラー入門】で学ぶ前に、気(魔力)の感覚化方法を【超能力仙道入門】の記述通りに実践してみなさい」と龍見が言った。
そして龍見が実験に戻ってしまった。
書架の横に椅子があるから、渡された【超能力仙道入門】を熟読してみることにした。
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